小児の血液腫瘍性疾患の診断・治療には専門的な知識や技術、設備などが必要です。当院は2013年2月に厚生労働省の定める小児がん拠点病院に指定され、2014年4月には小児がん医療センターを開設しました。これにより小児がんの患者に、よりきめ細かな集学的治療の提供と他施設との連携強化を推進してまいります。また、当院は近畿ブロックの小児がん拠点病院の中で最も西に位置することから、中四国地方の病院とも積極的に連携を図っており、難治例の紹介を受け入れています。特に、 2017年12月に隣接地に稼働開始した神戸陽子線センターと連携し、小児に対する陽子線治療への取り組みを開始し、晩期障害の低減に取り組んでいます。



血液・腫瘍内科はセンター長以下、専任のスタッフ9名、フェロー4名、専攻医2～3名で小児血液・腫瘍疾患の患者の診療に当たっています。入院治療は血液・腫瘍内科医師、看護スタッフ、薬剤師、管理栄養士および保育士等がチーム力を結集して、治療・看護・支援にあたります。化学療法などの治療を安全に行ない原病の治癒を目指すだけでなく、治療に伴う晩期障害の回避を念頭に、”後遺症のない治癒”を目指します。また、緩和ケアチームと協力し、治療に伴う苦痛の緩和や年齢に応じた遊びや教育支援などを積極的に取り入れ、入院生活の質の向上に努めています。

また病棟内には無菌室４床を有し、重症例に対しては骨髄移植等の造血細胞移植も積極的に行なっています。2019年からはがんゲノム医療連携病院としてゲノム情報に基づく個別化治療への取り組みを開始しました。また2022年12月より再発難治の急性リンパ性白血病に対してCAR-T細胞治療を開始すべく、キムリア®の施設認定を受けました。

治療の苦痛軽減のための吸入麻酔導入について：平成16年より当科では治療の苦痛・不安を軽減するために、骨髄穿刺（マルク）・髄腔内注射（髄注）等の処置時に病棟にて麻酔科医による閉鎖循環式全身麻酔（セボフルレンを用いた吸入麻酔）による疼痛管理を積極的に実施しています。マルクや髄注等はしばしば痛みや不安を伴い、不確実な麻酔は苦痛の増大や不必要な抑制をもたらしますが、静脈麻酔と吸入麻酔を適切に選択することによって処置の安全性と生活の質の改善をはかれます。この麻酔科医による病棟処置室での吸入麻酔施行件数は年々増加し、平成19年以降の5年間では延べ2500例余に上り、高い成果を上げています。

※受付は診療終了時間の30分前までにお願いします。