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整形外科

疾患と症例

先天性内反足

2-1 発生頻度

我が国での発生頻度は約1000人に1人とされています。男女比は2:1で先天股脱とは逆に男児に多いです。

2-2 症状および診断

出生時から見られる特徴的な足部変形により診断は容易です。ただし変形の程度にはばらつきがあり程度の強い変形ほど予後不良です。足部の変形としては内反、尖足、内転、凹足が認められます。時々健診で先天性内反足と間違われて当院に紹介されてくるなかに子宮内の肢位による足部変形があります。他動的に足部を中間位にして充分背屈ができれば内反足ではありません。

2-3 治療方針

当院で行っているPonseti法について説明します。この方法はアイオワ大学のPonseti教授が先天性内反足に対する治療法として発表したものです。最近先天性内反足に対する治療方法としてグローバルスタンダードになりつつある方法です。以下概略を述べます

2-3-1 矯正ギプス

徒手矯正 ギプス固定を1週間に1回、原則として6回行います。尖足以外の変形要素をここで矯正します。Ponseti法に基づいた内反足の矯正を正確に行うには熟練した技術が必要です。

2-3-2 アキレス腱切離

(大多数の症例において)矯正ギプス終了後、遺残した尖足の矯正のためにアキレス腱の切離を行います。術後は3週間のギプス固定を行います。アキレス腱を切離しても必ず再生し機能的にも全く問題ないことは確認済みです。Ponsetiらは外来にて局所麻酔下に行いますが当院では日帰り手術で全身麻酔下に行っています。全身麻酔は小児麻酔に慣れた麻酔科医が行います。

2-3-3 デニスブラウン装具

ギプス除去後はデニスブラウン装具の装着を行います。これは足部を外転させ両足をバーで連結したものです。処女歩行開始までは終日装着としその後は夜間用装具として使用します。
Ponseti法の導入に伴い当院において1歳前後に行ってきた侵襲の大きな手術の頻度を劇的に減らすことに成功しました。


両側性の先天性内反足の外観

先天性股関節脱臼

1-1 発生頻度

我が国での発生頻度は約1000人に1人とされています。漸減傾向にあるとされていますがここ数年は横ばい状態です。当院では開院以来800人以上の未整復の脱臼の患者さんを治療してきましたが最近は先天股脱の新患は年間で約20人くらいです。

1-2 臨床所見

ほとんどの患者さんは乳児期に股関節の開排制限を指摘され来院されます。稀に処女歩行開始後に歩容異常で脱臼が判明することもあります。

1-3 予防方法

一般に新生児期には脱臼は確定しておらずこの時期に下肢を伸展させたり開排を減ずるような肢位をとらせることで脱臼が確定するとされています。また重要な因子として顔の向き癖があります。赤ちゃんは大人にはない反射があり顔を向けてる反対側の股関節の開きが悪くなる傾向にあります。実際片側性脱臼の多くは顔を向けてる反対側が脱臼しています。顔を左右まんべんなく向けることをお勧めします。また開排制限のある児に布おむつを厚めに当てる指導をされる先生がおられますが、最近はこれがかえって下肢の動きを妨げ悪影響を与えるとされています。当院においては股関節にはちょっと大きめの紙オムツが望ましいと指導しています。

1-4 診断

単純X線所見、臨床所見、超音波所見などによりその診断は容易です。また完全脱臼にまでは至らないものの亜脱臼、臼蓋形成不全などの診断も可能です。

1-5 治療方針

基本的に先天股脱は歴史のある疾患ですのでその治療に関しても様々な意見があると考えて下さい。ここでお示しするのは当院における治療方針です。

1-5-1 RB(リーメンビューゲル法)

乳児期の初期治療としてほぼ全例にこの方法による整復を試みています。当院での脱臼の整復率は約85%です。愛護的に股関節を整復する方法として広く受け入れられている方法ですが、問題点として稀に大腿骨の骨頭を痛めてしまうことがあります。装具をきつく装着しないこと、患児が激しく泣くときには一度除去するなどの配慮が必要です。

1-5-2 牽引療法

RB不成功例、あるいは乳児期以降に発見された先天股脱に対して行います。これも様々な方法が報告されていますが我々はまず2週間水平牽引を行い、次の1週間は開排位で牽引を行います。その後全身麻酔下に徒手整復を行いその安定性、および同時に行った関節造影の所見を参考にギプスを巻くかどうかを判断します。当院での整復率は約90%です。

1-5-3 観血的整復術

前述した保存的療法で整復の得られない症例、および未治療の年長児に対して適応となります。整復障害因子となっている関節内外の問題点を観血的に治療します。

1-5-4 遺残亜脱臼、臼蓋形成不全に対する治療

脱臼整復後に残存する亜脱臼、臼蓋形成不全を放置すると二次性の変形性股関節症の原因になり得ます。よって関節の発育をより正常のパターンにのせるために補正手術が必要になる場合があります。代表的な手術方法としてソルター骨盤骨切り術があります。当院では現在までに300件以上のソルター骨盤骨切り術を行い良好な成績を得ています。


脚長差

4-1 原因

様々な原因が考えられます。短いほうの下肢に問題がある場合も長いほうの下肢の問題がある場合もあります。長いほうの問題がある場合としては片側肥大症、血管腫などが考えられます。短いほうに問題がある場合としては各種先天奇形、外傷後骨端線損傷、骨髄炎後骨端線損傷、麻痺性疾患などがあります。

4-2 症状

我々の基本的なスタンスとして1cm未満の脚長差は放置、1-3cmの脚長差に対しては足挿板(靴の中に入れる中敷き)あるいは靴の底に補高をするなどの保存的療法、3cmを越える脚長差に対しては手術による脚長補正というようにしています。もちろん原疾患、患者の希望により対応はケースバイケースです。
以下手術による脚長補正について簡単に述べます。

1) 骨短縮術あるいは成長軟骨抑制術
主に長いほうの下肢に問題がある場合に適応となります。文字どうり骨をそのまま切除する方法や成長期のこどもの骨に存在する成長軟骨と呼ばれる部分をステープルという金属で一時的に抑制したりあるいは完全に停止させたりします。将来の脚長差を計算して予測しどのタイミングで行うかがポイントとなります。

2) 脚延長術

主に短いほうの下肢に問題がある場合に行います。リング型(イリザロフ)、あるいは単支柱型(オルソフィクス)の創外固定器を用い骨を延長します。原理としては手術的に骨を切りその部位に出来た仮骨と呼ばれる柔らかい骨を創外固定器により徐々に引っ張っていきます。この方法は下肢短縮を伴う先天奇形などの疾患に対し有効であり変形を伴う場合でもこれを矯正しながら延長を行うことも可能です。また軟骨無形成症などの小人症に対し両側の下肢の延長も行っています。欠点としては延長に時間がかかること(1cmの延長に対し約1.5ヶ月の創外固定装着が必要)、創外固定のワイヤーが皮膚の外にでているため感染を起こしやすいことなどが挙げられます。



診療体制


診療統計

手術件数年間261件(2016年度)
股関節疾患(先天性股関節脱臼など) 23件
足部疾患(先天性内反足など) 70件
上肢疾患(先天奇形、多合指症など) 23件
下肢疾患(脚長差など) 16件
脊椎疾患 (側弯など) 9件
外傷疾患 (骨折など) 37件
腫瘍性疾患 14件
炎症性疾患(化膿性関節炎など) 7件
その他(抜釘など) 62件
連絡先 連絡先:兵庫県立こども病院 整形外科
住所:〒650-0047 神戸市中央区港島南町1丁目6-7
電話(078) 945-7300(代表)
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