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耳鼻咽喉科

疾患の解説

耳鼻咽喉科の扱う範囲は、耳鼻のどだけではなく、頭蓋内・眼窩を除く頭部顔面と、鎖骨上及び頸椎より前方の頸部にわたります。頻度の高い疾患を中心に解説します。(文責:大津雅秀)

  • 急性中耳炎
  • acute otitis media

病 態:
多くは上気道感染に続き、耳管経由で中耳粘膜に感染をきたすことにより生じる。起炎菌は、肺炎球菌、インフルエンザ菌などである。
診 断:
耳痛、発熱を症状とし、鼓膜の充血、膨隆、穿孔などの所見をもとに診断をおこなう。乳児では訴えがないため高熱・不機嫌だけが症状のことがある。
治 療:
近年耐性菌の増加とともに、適正な治療をおこなう目的で急性中耳炎治療ガイドラインが制定された。重症度に応じて、ごく軽症例では抗生剤を用いず解熱鎮痛剤のみを投与する、第1選択抗生剤としてペニシリン系から効果を3~5日ごとに見極めながら順次抗生剤を切り替えていく治療戦術である。重症例には鼓膜切開や抗生剤点滴がおこなわれる。難治性の場合は鼓膜チューブ挿入術を検討する。
合併症:
稀であるが、急性乳様突起炎、耳性頭蓋内膿瘍、内耳炎などの重篤な合併症が生じることがある。耳後部の膨隆、頭痛、嘔吐、めまいなどの症状に注意が必要である。
  • 滲出性中耳炎
  • otitis media with effusion

病 態:
耳管機能不全などにより、中耳腔の換気が抑制され陰圧が生じ、鼓膜内陥、中耳貯留液が遷延化した状態をいう。感染症ではないので発熱の症状はない。
診 断:
耳閉感、軽度難聴のみで、耳痛はない。乳幼児では症状の訴えがないので、家族が難聴を疑って初めて受診することが多い。鼓膜陥凹、中耳貯留液などの鼓膜所見、テインパノメトリーがB型などの所見から診断する。
治 療:
小児滲出性中耳炎は10歳までに9割は自然治癒するとされるので、すべての症例に積極的治療が必要なわけではない。治療の目的は、幼児期の長期にわたる難聴による言語を含めた発達遅滞の防止と、癒着性中耳炎や真珠腫などの後遺障害への進展の防止である。軽症例では治療をおこなわず経過観察のみ、あるいは保存的に粘液溶解剤、粘膜調整剤などの薬物治療を3か月程度行って、鼓膜所見が改善するか確認する。難聴が高度なものに対しては、耳管通気や鼓膜切開を行う場合もある。鼓膜の異常所見が高度なものや半年以上改善がみられないものには鼓膜換気チューブ挿入術を行う。経過観察のみの場合でも、合併する慢性鼻炎や鼻アレルギーへの治療は必要である。
  • 先天性感音難聴
  • congenital sensory neural hearing loss

新生児の聴覚障害は約1000人の出生に一人の頻度で出現するとされ、難聴に気づかす経過した場合には言語発達が遅れ、コミュニケーションや社会性の発達にも影響が生じる。約半数は超低出生体重児、重症仮死、子宮内感染などのリスクファクターを持つ児であるが、残り半数は難聴リスクのない児である。早期に診断して、生後6ケ月頃までには補聴器装用による聴覚補償を行った上で適切な聴能指導を開始する必要がある。補聴器の効果が十分でない場合には、1歳過ぎから人工内耳手術の検討を要する。スクリーニング検査が始まるまでは、2歳を過ぎてから発語がないために発見されることがほとんどであった。診断はABRやCORなど発達段階に応じた各種聴力検査の結果を総合して行う。

  • 新生児聴覚スクリーニング検査

AABRやOAEを用いた新生児聴覚スクリーニング検査が先天難聴の早期発見のために約10年前から導入されるようになってきた。実施率は地域によって60~99%と格差が依然大きい。兵庫県での受検率は67%(2013年)。 要精密検査となるのは受検者の0.7%程度である。日本耳鼻咽喉科学会の全国集計では、要精検のうち精密聴力検査の結果、約1/4が両側難聴、約1/4が片耳難聴、残り約半数が聴力正常とされている。新生児期に要精検とされた保護者の心理に配慮した説明や支援が必要である。

  • 鼻出血
  • epistaxis

病 態:
鼻中隔前下部のキーゼルバッハ(Kiesselbach)部位からの前鼻出血が9割で、後鼻出血は1割ほどとされる。局所的原因(アレルギー性鼻炎などのかゆみによる鼻いじり、鼻こすりのための物理的刺激による軽度の外傷)がほとんどであるが、全身的原因(血液疾患、肝疾患など)によることもあり、繰り返す場合は原因検索を要す。
治 療:
表面麻酔薬と血管収縮薬を浸したガーゼを挿入して鼻翼を5分間ほど圧迫することにより止血することが多い。患児や保護者が興奮していることが多いので落ち着かせることが大事である。血液を飲み込まないように、処置の間は座位または側臥位を取らせる。後鼻出血の場合は容易に止血しないので耳鼻科医の診察を仰ぐ。
  • 慢性副鼻腔炎
  • chronic sinusitis

病 態:
急性鼻炎に続発して生じた副鼻腔粘膜の慢性炎症。炎症のために副鼻腔開口部が閉塞して副鼻腔内の分泌物や膿などが排泄されず、細菌感染が繰り返されて症状が3ヵ月以上続いた状態。鼻アレルギー、鼻中隔弯曲症、アデノイド増殖症が合併していると鼻腔換気が悪く遷延化しやすい。
診 断:
症状は鼻閉、粘膿性鼻汁、口呼吸、後鼻漏、頭痛、注意散漫など。前鼻鏡検査で副鼻腔自然口方向からの排膿、ポリープ形成の有無などと、X線やCTでの副鼻腔の陰影から診断する。
治 療:
鼻汁吸引したのち鼻粘膜腫脹を改善する目的でネブライザー治療を行う。気道粘液溶解剤、消炎酵素薬などの内服治療。急性増悪期には抗生剤を投与。顔面骨の形成が不十分な幼児期には原則手術を行わない。巨大な鼻ポリープがあれば鼻腔換気を改善する目的でポリープ切除術のみを行う。学童期以上で保存的治療が奏功しない場合には、内視鏡下鼻内手術を検討する。
  • アデノイド肥大・口蓋扁桃肥大
  • adenoid vegetation・hypertrophy of palatine tonsil

病 態:
アデノイドは上咽頭上壁にある扁桃組織で、5歳頃に生理的肥大のピークをむかえ10歳ころには退縮する。中等度以上に肥大すると鼻閉、鼻呼吸障害、陥没呼吸、耳管狭窄から中耳炎を生じやすくなる。口蓋扁桃はアデノイドに約2年遅れて肥大が始まり、学童期に生理的肥大のピークを示す。いびき、睡眠時無呼吸、摂食嚥下障害などの症状を呈することがある。
診 断:
アデノイドは鼻咽腔ファイバースコープ、側面X線で、口蓋扁桃肥大は舌圧子を用いて口腔内視診で診断する。口蓋扁桃は突出が軽度のように見えても、埋没部分が大きいことがあり、頸部からの圧迫、舌圧子での圧排、X線などで確認する。
治 療:
無症状の生理的肥大は治療対象にならない。生理的肥大に対する有効な薬物治療はない。肥大に伴う閉塞症状が高度で、いびき、呼吸や摂食の障害が高度の場合にはアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術の適応になる。そのほか、扁桃は習慣性扁桃炎や扁桃病巣感染症、アデノイドは慢性副鼻腔炎の遷延化、難治性滲出性中耳炎がある場合には手術適応になる。手術創は開放創であるので術後出血に注意する。
  • 声帯結節
  • vocal cord nodules

病 態:
上気道炎後の音声酷使などが原因の、声帯粘膜固有層の浮腫である。
診 断:
症状の嗄声(かすれ声)をもとに、喉頭ファイバースコープで診断する。結節は声帯膜様部中央に左右対称に生じた小さな広基性隆起である。
治 療:
無理な発声を避ける。音声指導は幼児では不可能なことが多く経過観察のみ。囁き声もかえって声帯には負担がかかってよくない。変声期過ぎまでには病変が自然軽快することが多いので、手術治療については嗄声が高度でなければ待機する施設が多い。
連絡先 連絡先:兵庫県立こども病院 耳鼻咽喉科
住所:〒650-0047 神戸市中央区港島南町1丁目6-7
電話(078) 945-7300(代表)
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