お知らせ
お知らせ一覧診療時間
午前 9:00~12:00 午後 13:00~17:00※
※受付は診療終了時間の30分前までにお願いします。
連絡先
住所:〒650-0047 神戸市中央区港島南町1丁目6-7
電話(078)945-7300(代表)
- 手術に関することは、各診療科窓口、日帰り手術当日の体調・麻酔に関することは、麻酔科へお問い合わせください。
診療の特色
小児の脳・脊髄は急速な発達段階にあるため成人とは全く異なった性質を有しています。特に、新生児、乳児はそれぞれ全く異なった生理を有しています。
小児脳神経外科とは、このようなお子さまの発達や生理に対する十分な理解と豊富な経験に基づき、小児特有の疾患を治療する高度に専門化された分野であるとともに若年成人(AYA世代)をも対象とした診療科です。
セカンドオピニオンに関しては随時、外来にて受付を行っています。疾患により早期に対応する必要があるものもございますので、ご希望がございましたらその旨を予約センターでおっしゃってください。臨機応変に対応するよう致します。
全人的医療・インフォームドコンセント・集学的医療
脳・脊髄腫瘍、二分脊椎・水頭症・頭蓋顔面奇形などの先天性疾患、頭部外傷、モヤモヤ病、てんかんなどの広い領域の疾患を治療対象としています。兵庫県立こども病院脳神経外科の特色は、関連専門科・関連部署との連携のもとに行なわれるチーム医療にあります。
病気を持った一人の人間として、個々のお子さま、またご家族に応じた全人的な治療を進めることが最も大切です。小児脳神経外科を支える高度なチーム医療は、小児医療の専門家集団を数多く擁し、先進的な医療機器の完備したこども病院においてのみ可能になるといえます。
- 小児専門病院における脳神経外科部門として、小児の脳・脊髄疾患の外科的治療全般に対して関連諸科との密接な連携のもとに、高度な包括的医療を行っています。
- 小児脳神経外科専門施設として日本で最も古い歴史を有しています。その実績に基づいて国際的に標準とされる医療を提供しています。
- 脳神経外科的疾患の3次救急に常時対応しています。
- 隣接する神戸陽子線センターにて陽子線治療が可能となりました。
毎日朝夕二回の廻診を含めて症例検討会により情報を共有し、ご両親を含めたご家族とお話しする時間を十分に取ってインフォームドコンセントに心がけています。入院外来にて疑問点がございましたら遠慮なくおっしゃってください。
疾患と症例
脳・脊髄腫瘍
当施設では未成年者を対象に治療及び治療相談を受け付けています。小児がんの第2位の発生頻度を有する脳・脊髄腫瘍(髄芽腫、上衣腫、胚細胞腫瘍、星細胞腫、神経膠腫などを中心に)の集学的治療については、脳神経外科、血液腫瘍内科、放射線科、病理の専門医を中心としたチームにより日本小児がん研究会脳腫瘍治療グループの標準治療に基づき専門病棟において治療を進めています。
これらの疾患の初発症状は頭痛・嘔吐など感冒などに近いため注意が必要であり、早期発見が重要です。長く持続する症状などご不安のある方は脳神経外科外来にて随時対応致しますので遠慮なくご相談ください。
治療に関しては、当施設各部門専門家の統一見解によるバランスの取れた治療がお子さまの将来を向上させます。治療後は後療法による将来への影響を考え、思春期はもちろん若年成人(AYA世代)まで外来にて追跡を行っています。また最新治療として、お子さまの将来に支障を来す晩期合併症が少ないと注目されている陽子線治療を、当施設に入院しながら隣接する神戸陽子線センターで受けることができます(下記別項あり参照)。
脳血管障害
もやもや病、脳動静脈奇形、脳出血に対しては、常時MRI、3D-CTA、脳血管撮影、術中蛍光血管造影が可能であり、血管内治療も含めた外科的治療を行っています。
海綿状血管腫に対しては、当院倫理委員会の承認を得て、新たな内服治療であるプロプラノロール療法を開始しました。
二分脊椎
毎週金曜日の二分脊椎外来において泌尿器科、整形外科と協議して治療を進める体制を確立しています。脊椎再建を要する疾患の治療も行っています。
水頭症、その他の先天性疾患
水頭症については厳密な手術適応に基づく髄液短絡術、神経内視鏡手術を行なっています。また脊髄髄膜瘤、シャント機能不全なども含め緊急性の高い疾患に対しても終日対応が可能です。
頭蓋縫合早期癒合症(頭蓋顔面奇形)
形成外科専門医とともに高度な頭蓋顔面奇形に対する治療を行っています。6か月未満の症例では内視鏡による縫合切除術、ヘルメット治療も行っています。
脊髄空洞症、頭蓋頚椎移行部病変などの脊椎脊髄疾患
キアリII型奇形、キアリI型奇形、その他に伴う脊髄空洞症の治療に豊富な経験を有しています。また環軸椎亜脱臼など、内固定を要する治療も整形外科医と連携して行っています。
機能的脳神経外科
痙縮に対するバクロフェン髄腔内投与療法、てんかんに対する迷走神経刺激療法を希望される方も受け入れ可能です。
赤ちゃんの頭の形外来
毎週月曜日午前
赤ちゃんの頭の変形のうち、病的なもの以外は頭位性斜頭や位置的頭蓋変形などと呼ばれ、その頻度は60人〜300人に1人と報告されています。大半は首が座った後に改善すると考えられていましたが、変形が強い場合には睡眠時の向き癖が変わらず、変形が助長される事もあります。頭位性斜頭は発達遅滞や機能障害の原因にはならないとされていますが、見た目の問題以外にも眼鏡や帽子が合わせづらいなどの問題が指摘されています。治療としてはヘルメットによる矯正が有効とされており、米国では年間1万人に行われている一般的な治療です。日本でも米国同様に保険診療ではありませんが、国立成育医療研究センターで2012年にヘルメットによる頭蓋形状誘導療法が開始され、2017年9月までに250例以上に治療が行われその有効性と安全性が示されました。
当院でも倫理委員会の承認を得て2018年5月から「赤ちゃんの頭の形外来」を開設しました。対象は生後3か月から6か月の赤ちゃんで、手術が必要な病気を否定した後に治療の同意を得てヘルメットを作成します。3〜6週おきに受診し、形状や皮膚障害のチェック、ヘルメットの微調整を行い、約6か月で治療を終了します。費用は36万7千円(税込、2024年1月現在)です。当院で使用するヘルメットはGUNZE MEDICALの「ReMo baby」です。ヘルメットによる頭蓋形状誘導療法の副作用として肌荒れ、汗疹などの皮膚障害が報告されています。
3か月未満の赤ちゃんや変形が軽度の場合は積極的体位変換の指導を行い、ヘルメットなしで経過を見ることもあります。また単なる向き癖と思われていた場合も手術が必要な病気が隠れている可能性もあります。赤ちゃんの頭の形で気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。初回の診察は保険診療です。紹介状がなくても受診可能ですが、初診料とは別に7000円ご負担していただきます。7か月以上の乳児や、ヘルメットはご希望されずに診察のみご希望の方は水曜日の一般外来で対応します。
その他の脳・脊髄疾患
感染症や外傷など外科的治療が必要な場合は随時緊急で対応しています。
小児脳脊髄腫瘍に対する陽子線治療
当施設内 血席腫瘍内科、放射線科、病理部及び隣接する兵庫県立粒子線医療センター附属神戸陽子線センターと連携して症例検討会を開催し、適応症例を見極めて治療に従事して経験症例を積み重ねています。外科的治療後や化学療法中の症例に対しても、水曜日午後、金曜日午前午後の脳神経外科外来にて相談に応じています。ご希望の方は予約センターより診察予約をお取りください。
診療体制
小児脳腫瘍に対する集学的治療
脳・脊髄腫瘍に対しては疾患のみならずお子さまご家族の全人的な治療に、脳神経外科・血液腫瘍内科・放射線科・病理専門医・内分泌代謝内科・指導相談部・外来及び病棟スタッフなどを中心にした小児がん脳腫瘍治療チームが専門病棟で当たります。また必要に応じて兵庫県立がんセンター、兵庫県立粒子線治療センターと連携してお子さまに最良の選択肢を提供します。毎週金曜には各科の専門医による診察を行っています。
頭蓋顔面奇形に対するチーム医療
頭蓋縫合早期癒合症(狭頭症)の中には、顔面の高度の変形を伴う例があります(クルーゾン症候群、アペール症候群など)。頭蓋変形の手術のみならず眼窩・上顎などの顔面骨に及ぶ手術を必要とする場合には、脳神経外科と形成外科医による緊密な連携が治療には不可欠となります。
こども病院では顔面に変形が及ぶ場合には早期に形成外科医と連携しながら治療を開始し、手術も共同で行ないます。小児麻酔科医の協力も得て、安全な手術により良好な形態改善を得ています。
二分脊椎外来
脊髄髄膜瘤や脊髄脂肪腫などの二分脊椎のお子さまは、脳神経外科医により脊髄の手術が行なわれた後も、排尿/排便障害、下肢麻痺、脊椎変形などのために、複数の専門家による継続的な治療を必要とする場合があります。
脳神経外科医・整形外科医・泌尿器科医を中心として、成長や進学に合わせて小児外科医・WOC看護師なども含めたチームで治療を進めています。
毎週金曜には各科の専門医により一度に診察する二分脊椎外来を開設しています。
担当医
- 整形外科:小林、坂田、衣笠
- 脳神経外科:小山、阿久津、河村
- 泌尿器科:杉多
スタッフ
外来診察担当医
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
午前 | 脳外1:小山 脳外2:頭の形外来 | - | 脳外1:阿久津 脳外2:担当医 | - | 脳外1:河村 |
午後 | 脳外1:小山 | - | 脳外1:阿久津 脳外2:担当医 | - | 脳外1:河村 脳外2:二分脊椎外来 |
診療実績
年間約120例前後の脳・脊髄に対する手術を行っており、小児のあらゆる脳・脊髄疾患を治療しています。特に脳・脊髄腫瘍の手術は年間20例以上あり、術後は悪性腫瘍に対して常時4~5名の患児が最新の標準治療を専門病棟で受けています。退院後は外来で各症例においてAYA世代までの追跡・支援を継続しています。また全国から随時、陽子線治療対象症例を受け付けています。二分脊椎関連疾患に関しては約200名以上を定期的にフォローアップし、遠方からの紹介症例も含めて年間20例前後の外科的治療を行い、整形外科、泌尿器科とともに二分脊椎外来を運営して追跡・評価を長期継続しています。水頭症の手術は年間30例以上実施しています。頭蓋骨奇形に対する再建術は、頭の形外来などを経由して治療対象症例を早期に網羅して神経内視鏡的脳溝形成術や頭蓋骨再建術等を施行し、良好な成績を得ています。
手術件数ほか
脳神経外科病床数 10床
件数 | ||
---|---|---|
脳神経外科的手術の総数 | 116 | |
脳腫瘍 | 摘出術 | 23 |
生検術(開頭術) | 1 | |
生検術(定位手術) | 0 | |
経蝶形骨洞手術 | 0 | |
広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術 | 0 | |
その他 | 3 | |
脳血管障害 | 破裂動脈瘤 | 0 |
未破裂動脈瘤 | 0 | |
脳動静脈奇形 | 1 | |
頸動脈内膜剥離術 | 0 | |
バイパス手術 | 5 | |
高血圧性脳内出血(開頭血腫) | 0 | |
高血圧性脳内出血(定位手術) | 0 | |
その他 | 0 | |
外傷 | 急性硬膜外血腫 | 3 |
急性硬膜下血腫 | 1 | |
減圧開頭術 | 0 | |
慢性硬膜下血腫 | 6 | |
その他 | 2 | |
奇形 | 頭蓋・脳 | 12 |
脊髄・脊椎 | 19 | |
その他 | 2 | |
水頭症 | 脳室シャント術 | 15 |
内視鏡手術 | 10 | |
その他 | 6 |
件数 | ||
---|---|---|
奇形 | 頭蓋・脳 | 12 |
脊髄・脊椎 | 19 | |
その他 | 2 | |
水頭症 | 脳室シャント術 | 15 |
内視鏡手術 | 10 | |
その他 | 6 | |
脊髄・脊椎 | 腫瘍 | 0 |
動静脈奇形 | 0 | |
急性疾患・変形性脊椎症 | 0 | |
急性疾患・椎間板ヘルニア | 0 | |
急性疾患・後縦靱帯骨化症 | 0 | |
脊髄空洞症 | 0 | |
その他 | 0 | |
機能的手術 | てんかん | 0 |
不随意運動・頑痛症 | 0 | |
脳神経減圧症 | 0 | |
その他 | 1 | |
その他 | 5 | |
血管内手術 | 総数 | 1 |
動脈瘤塞栓術(破裂) | 0 | |
動脈瘤塞栓術(未破裂) | 0 | |
動静脈奇形 | 0 | |
閉塞性脳血管障害 | 0 | |
[内ステント使用例] | 0 | |
その他(腫瘍血管塞栓術) | 1 | |
定位的放射線治療 | 陽子線治療 | 30 |
医療関係者の方へ
学術研究へのご協力のお願い(JND)
現在、当院では「日本脳神経外科学会データベース研究事業(Japan Neurosurgical Database:JND)」に協力しています。
2018年1月から当院脳神経外科に入院された患者さんの臨床データを解析させていただき、脳神経外科医療の質の評価に役立てることを目的としています。
解析にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者さんの個人のプライバシーは完全に保護されます。
本研究の解析に自分のデータを使用されることを拒否される方は、当事業実施責任者・脳神経外科 河村淳史 医師にその旨お申し出くださいますよう、お願いいたします。
頭部外傷の診断、治療のため当院に入院・通院されていた患者さんの診療情報を用いた臨床研究に対するご協力のお願い
このたび当院では、上記のご病気で入院・通院されていた患者さんの診療情報を用いた下記の研究を実施いたしますので、ご協力をお願いいたします。この研究を実施することによる患者さんへの新たな負担は一切ありません。また患者さんのプライバシー保護については最善を尽くします。本研究への協力を望まれない患者さんは、その旨、阿久津までご連絡をお願いします。
小児神経外科医を目指す先生へ
当施設は小児脳神経外科疾患の治療ばかりでなく、脳神経外科専門医訓練施設として小児脳神経外科症例の診断、治療方針の決定、手術に関してトレーニングを行っています。また将来、小児神経外科医を目指す先生の見学希望にも対応可能です。
カンファレンス
- 毎朝夕回診および症例検討会
- 毎週水曜日 腫瘍治療検討会
- 月1回 二分脊椎カンファレンスなど
学会参加と発表
日本小児神経外科学会、脳神経外科学会学術、日本脳神経外科学会近畿支部学術集会、日本二分脊椎研究会、日本こども病院神経外科医会、日本脳卒中学会、日本脳腫瘍学会、日本神経内視鏡学会、日本脳神経外傷学会、日本定位・機能神経外科学会、日本小児脳腫瘍コンソーシアム(JCCG脳腫瘍治療グループ)、日本小児血液がん学会、日本小児神経学会、日本粒子線治療臨床研究会、日本脳神経外科救急学会、国際小児神経外科学会(ISPN)、国際小児脳腫瘍学会(ISPNO)などへの参加、発表
その他
- 出版物、論文などの執筆活動
- 講演やセミナー・勉強会主催
- 神戸大学医学部講義・神戸大学医学部BSL受け入れ
小児の脳腫瘍に対する陽子線治療のご相談
受付)まずは脳神経外科外来宛に、診療情報提供書のFAX(078-945-7330)を頂けましたら幸いです。
外科的治療後や化学療法中の症例でも遠慮なくご相談ください。
日本こども病院神経外科医会
本会は日本国内の小児医療施設あるいはこれに準ずる施設に、現在在籍している脳神経外科医、および過去に在籍の経験のある脳神経外科医の親睦を深めると共に、その研修と医学にとどまらず幅広い情報の交換を目的とする会です。そのために基本、年1回の研修会を開催しています。
兵庫県立こども病院
兵庫県神戸市中央区港島南町1-6-7
事務局担当:河村 淳史(Atsufumi Kawamura)
電話:078-945-7300(代表) FAX:078-302-1023
メール:jimkyoku.kch(at)gmail.com
(迷惑メール対策のため、メールアドレスの表記を変更しております。お手数ですが、(at)を@に置き換えてご利用ください。)
研修会情報はお知らせに掲載しています。
小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン
2019年4月1日に上記ガイドラインが金原出版から刊行となりました。髄芽腫の項を分担しております。
小児脳腫瘍治療の日常にご参考頂けますと幸いです。