診療科・部門・センター
神経内科

午前 9:00~12:00 午後 13:00~17:00※

※受付は診療終了時間の30分前までにお願いします。

住所:〒650-0047 神戸市中央区港島南町1丁目6-7
電話(078)945-7300(代表)

診療の特色

お子さまの「神経症状」をきたすあらゆる病気を診療しています。神経症状としては、頭痛、発達の遅れ・退行(できていたことができなくなる)、けいれん、意識消失、歩き方がおかしいなど様々なものがあります。

てんかん診療についてはデジタルビデオ脳波の導入により、長時間記録が可能になり、てんかん発作の正確な把握に努めています。

重度脳障害のお子さまには、食事や睡眠といった生活全般面の改善を目指した医療を行っています。

急性脳症、てんかん重積状態など神経集中治療を要する病態に対しては、救急総合診療科、小児集中治療科と連携し集中治療を行っています。

当院は、小児神経専門医研修認定施設および日本てんかん学会研修施設です。

スタッフ

丸山 あずさ(まるやま あずさ)
役職:
神経内科 部長・科長
卒業年:
1997年卒
資格等:
所属学会:
西山 将広(にしやま まさひろ)
役職:
神経内科 医長
卒業年:
2006年卒
資格等:
所属学会:
石田 悠介(いしだ ゆうすけ)
役職:
神経内科 医長
卒業年:
2009年卒
資格等:
鮫島 智大(さめしま ともひろ)
役職:
神経内科 フェロー
卒業年:
2014年卒
資格等:
相馬 健人(そうま けんと)
役職:
神経内科 フェロー
卒業年:
2018年卒
資格等:
伊藤 立人(いとう たつひと)
役職:
神経内科 フェロー
卒業年:
2018年卒
資格等:

外来診察担当医

 
午前西山・伊藤--石田・鮫島丸山・相馬
午後丸山・相馬西山・石田---
※完全予約制です。
…初診受付
※急な学会・出張等で休診・代診になる場合がありますのでご了承ください。

診療実績

2023年実績

神経内科外来初診480例
てんかん129例
発達遅滞69例
熱性けいれん169例
急性脳炎・脳症12例
自己免疫性神経疾患11例
頭痛/心身症63例
検査および治療
脳波611例
長時間ビデオ脳波65例
持続脳波モニタリング319例
末梢神経伝導検査17例
体温管理療法+バルビツレート昏睡療法9例

一部重複あり

医療関係者の方へ

小児神経を専門とする施設のなかでも、当科で特に力を入れているのは、熱性けいれんや急性脳症などの神経救急疾患です。

熱性けいれん・急性脳症

発熱に伴うけいれん・意識障害の小児のうち、以下の3項目のいずれかを満たす状態「重症熱性けいれん」は、神経学的予後不良と関連することを報告しました。

  1. 難治性けいれん重積状態(抗けいれん薬投与後も1時間以上持続する)
  2. 発症後6時間の時点での神経症状(意識障害や片麻痺など)
  3. 発症6時間以内のAST>90 IU/l
  • 複雑型熱性けいれんの予後不良因子を用いた急性脳症治療開始基準の検討. 永瀬 裕朗, 中川 拓, 青木 一憲, 藤田 杏子, 佐治 洋介, 丸山 あずさ, 上谷 良行. 日本小児科学会雑誌114巻5号858-864, 2010.

興奮毒性が主体となる1)2)に対して、脳低温/平温療法が神経学的後遺症を減ずることを報告しました。

  • Nishiyama M, Tanaka T, Fujita K, Maruyama A, Nagase H. Targeted temperature management of acute encephalopathy without AST elevation. Brain Dev. 2015; 37(3): 328-33.

サイトカインストームや炎症が主体の急性脳症(発症早期からASTが高いことが多い)では、神経症状が出現してからの経過が早く、神経症状出現から6〜12時間ほどでショックやDICに至ることが多く要注意です。
サイトカインストームや炎症が主体となる3)に対しては、ステロイドパルス療法を試みます。24時間以内のステロイドパルス療法にて後遺症は減りませんでしたが、超早期のステロイドパルス療法で神経学的後遺症を減ずる可能性があります。

  • Ishida Y, Nishiyama M, Yamaguchi H, Maruyama A, Nagase H et al. Early steroid pulse therapy for children with suspected acute encephalopathy: An observational study. Medicine (Baltimore). 2021 100:e26660
  • Tomioka K, Nishiyama M, Nagase H, Ishida Y, Maruyama A et al. Detailed clinical course of fatal acute encephalopathy in children. Brain Dev. 2019 41:691–698

PICUにおける連続脳波モニタリング

PICUにおいては、意識障害やけいれん重積の小児の脳波をリアルタイムでモニタリングできる体制を24時間365日準備し、治療に役立てています。この体制がとれるのは兵庫県下では当院だけであり、全国的にみてもその実施件数はトップです。
PICUにおける連続脳波モニタリング実施件数(小児救急医療センター開設後)

熱性けいれん・急性脳症に限らず、神経に関連する緊急を要する状態が予測される際には、救急総合診療科が窓口となっておりますので、いつでも御相談ください。

てんかん重積状態

けいれん性てんかん重積状態に対して、よりよい治療戦略によって後遺症を減らすことができる可能性を報告しました。重症の難治性てんかん重積状態にはバルビツレート昏睡療法併用での体温管理療法を行っています。

  • Ishida Y, Nishiyama M, Yamaguchi H, Maruyama A, Nagase H et al. Thiamylal anaesthetic therapy for febrile refractory status epilepticus in children. Seizure. 2020 80:12–17
  • Tokumoto S, Nishiyama M, Yamaguchi H, Maruyama A, Nagase H, et al. Prognostic effects of treatment protocols for febrile convulsive status epilepticus in children. BMC Neurol. 2022 Mar 5;22(1):77.

神戸大学との共同研究 後遺症予測マーカーの開発

発熱に伴うけいれん・意識障害の小児において、より高い精度で後遺症を予測するための研究にも取り組んでいます。劇症型の急性脳症でのサイトカイン動態を明らかにしたほか、GDF-15というマーカーが後遺症を予測する可能性を報告しました。

  • Yamaguchi H, Nishiyama M, Maruyama A, Nagase H et al. Elevated cytokine, chemokine, and growth and differentiation factor-15 levels in hemorrhagic shock and encephalopathy syndrome: A retrospective observational study. Cytokine. 2020 137:155324
  • Yamaguchi H, Nishiyama M, Maruyama A, Nagase H et al. Growth and differentiation factor-15 as a potential prognostic biomarker for status-epilepticus-associated-with-fever: A pilot study. Brain Dev. 2022

COVID-19に関連した神経症状や熱性けいれんの特徴

COVID-19に関連した神経症状や熱性けいれんの特徴について研究し、以下の知見を得ました。

  1. COVID-19に関連した熱性けいれんの発症年齢はnon-COVID-19群よりも高い。
  2. 神経症状や神経学的後遺症の頻度は、COVID-19群とnon-COVID-19群で同等である。
  3. COVID-19群では、意識障害が遷延したにも関わらず脳波モニタリングを行われていない症例が多く、隔離や感染対策の影響が示唆される。
  • Hongo H, Nishiyama M, Ueda T, Maruyama A, et al. Comparison of neurological manifestation in children with and without coronavirus 2019 experiencing seizures with fever. Epilepsy Behav Rep. 2023 5;24:100625