連絡先
住所:〒650-0047 神戸市中央区港島南町1丁目6-7
電話(078)945-7300(代表)
診療の特色
病理診断科は、検査や手術で摘出された身体の臓器の一部からつくられた標本を観察して病理診断しています。身体のさまざまな臓器は、それぞれの臓器に特徴ある細胞が決められた配列で構成された組織から出来ています。
下記写真にて例を示します。これらの例はごく一部ですが、様々な細胞の種類と配列によって身体は成り立っています。
病理診断とは「組織の診断」を意味し、正常の組織の配列や構成が”どの様に変化しているのか””正常との違い”を、顕微鏡を通して実際に目で確かめることによって、どういった病気であるかを診断しています。
病理診断の報告書を主治医に提出し、その内容は主治医からお子さまやご家族に説明され、診療に活かされます。組織を診断しているのが病理医です。臓器の一部から標本を作っているのが臨床検査技師です。臨床検査技師は検査部に所属して標本の作成や細胞診のスクリーニングを行っています。
病理検査室では、手術などによって採取された身体の一部を特殊な処理をし、3μm程の厚さに切り、その薄く切った切片を染色液で染め、顕微鏡で組織を観察し診断するための標本を作っています。病理システムによって、受付から報告書作成までバーコード管理、データベース化しています。
自動免疫組織化学染色装置を用いて、標本上で特殊なたんぱくや遺伝子の発現を調べて、科学的な精度の高い診断を出来るだけ速やかに行えるようにしています。
細胞診検査では、胸水・腹水などの体腔液や髄液を遠心して細胞を集め、スライドガラスに塗抹して染色液で染め、それを顕微鏡で観察して異常な細胞がないかを調べています。
バーチャルスライドを用いて、稀少な病理標本の永久保存を行い、全国の小児専門施設等との意見交換を多数行っています。
- 当院は日本病理学会研修登録施設です。
- 当院は神戸大学医学部病理専門研修プログラムおよび神戸市立医療センター中央市民病院病理専門研修プログラムの連携施設です。
- 当院の小児科や小児外科の専攻医は、当院病理診断科を1~6ヵ月の選択研修することが可能です。
疾患と症例
周産期の疾患
当院で行われたお産のほぼ全例に対して胎盤の病理診断を行っています。胎盤の重量などの計側や外観の観察の後、病理標本を作成して、病理診断を行っています。1絨毛膜性の多胎胎盤に対しては、色素注入による血管吻合の検索も行っています。胎盤の病理診断によって、赤ちゃんの妊娠中の発育環境を知ることが出来ます。病理診断の結果はデータベース化していますので、必要に応じて妊娠経過や赤ちゃんの発育との関連を調べることが出来ます。
小児外科・外科領域の疾患
ヒルシュスプルング病、胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症などの疾患や、さまざまな良性腫瘍は、病変がある部分を手術によって取り除くことで治療が行われます。母斑、嚢胞性病変、異形成を伴う病変も状態に応じて手術で取り除かれる場合があります。それらの手術によって摘出された組織の病理診断を行っています。病変の広がりや、病気の種類を診断しています。院内の外科カンファレンスで、小児外科医にほぼ全例の病理標本を示して病理診断の説明を行っています。
小児固形腫瘍の疾患
神経芽腫、脳腫瘍、リンパ腫、腎腫瘍、肝腫瘍、軟部腫瘍、胚細胞腫瘍、網膜芽細胞腫、骨腫瘍などの小児固形腫瘍の病理診断を行っています。生検や手術によって採取された腫瘍組織を用いて、通常の病理標本作成の他に、凍結してがん遺伝子などを調べて(外部委託)、それらを合わせた病理診断を行っています。病理標本や凍結した組織を、日本小児がん研究グループ病理診断委員会/日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会の事務局である国立成育医療研究センターの病理診断部に送付して、病理診断と分子生物学的診断を行ってもらい、院内の病理診断と照らし合わせています。院内でほぼ全例について腫瘍カンファレンスを行い、腫瘍の診療にたずさわる医師に、病理標本を示しながら病理診断の説明を行っています。
腎の疾患
糸球体腎炎やネフローゼ症候群に対して腎臓内科が行う腎臓針生検の病理診断を行います。針生検の組織を用いて、通常の病理標本作成の他に、凍結蛍光免疫染色や電子顕微鏡標本作成(外部委託)も行って、それらを合わせた病理診断を行っています。神戸大学小児科の腎生検カンファレンス(webカンファレンス)に参加しています。腎生検の病理診断は、腎臓内科医、病理診断科の病理医による2重チェックを行っています。
診療体制
常勤病理医1名と臨床検査技師3名で病理診断と病理標本作成を行っています。
切り出しは全例病理医が行い、マクロ所見とミクロ所見の対比を行っています。
緊急手術の術中迅速診断や院内の剖検については、連絡があれば随時対応しています。
固形腫瘍については、日本小児がん研究グループ病理診断委員会/日本病理学会小児腫瘍組織分類委員会の中央病理診断との2重チェックを行っています。腎生検については、腎臓内科医と2重チェックを行っています。
神戸大学病院病理部のくすのき会(わからん会)に参加して、病理診断に関する意見交換を行っています。
スタッフ
その他のスタッフ
検査部に所属する3名の臨床検査技師が標本作成や細胞診スクリーニングなどを担当しています。そのうち1名は日本臨床細胞学会細胞検査士です。
診療実績
2023年の診療実績 | |
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組織診断件数 | 955件 |
迅速有り | 54件 |
胎盤 | 226件 |
腎生検 | 27件 |
他院からの持ち込み | 33件 |
その他 | 615件 |
がんゲノム検査 | 11件 |
細胞診断件数 | 226件 |
剖検件数 | 1件 |
新生児科 | 1件 |
2022年の診療実績 | |
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組織診断件数 | 1031件 |
迅速有り | 53件 |
胎盤 | 230件 |
腎生検 | 27件 |
他院からの持ち込み | 28件 |
その他 | 693件 |
がんゲノム検査 | 23件 |
細胞診断件数 | 244件 |
剖検件数 | 4件 |
新生児科科 | 2件 |
血液・腫瘍内科 | 1件 |
心臓血管外科 | 1件 |
2021年の診療実績 | |
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組織診断件数 | 1159件 |
迅速有り | 54件 |
胎盤 | 281件 |
腎生検 | 35件 |
他院からの持ち込み | 40件 |
その他 | 749件 |
がんゲノム検査 | 8件 |
細胞診断件数 | 265件 |
剖検件数 | 2件 |
循環器科 | 1件 |
新生児科 | 1件 |