「レントゲン」と「エックス線検査」は違いがあるのですか?
レントゲ検査とエックス線検査は、全く同じものを意味します。エックス線検査は1895年にドイツのレントゲン博士によって発見されました。発見者の名前を使って「レントゲン線」と呼ばれることもあります。発見したレントゲン博士は、目に見えない不思議な光線という意味から「X線」と名付けました。したがって、正式な呼び方は『エックス線』と言います。
「エックス線」と「放射線」は違うのですか?
放射線には様々な種類があります。エックス線も放射線の一つです。それ以外にも放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、電子線、陽子線、炭素線、中性子線などがあります。
「放射線」、「放射能」、「放射性物質」の違いはあるのですか?
放射能とは、放射線を出す性質や能力(働き)のことを言います。放射性物質とは、この放射能をもつ物質のことを言います。よって、放射性物質には放射線を出す能力を持っている性質があるということになります。木炭で例えると、燃えている炭火から出る赤い光が放射線に相当し、木炭が放射性物質であると言えます。この時の炭火の持っている光を出す能力が放射能に相当します。
エックス線写真は1回に何枚まで撮影しても大丈夫なのですか?
1回のエックス線検査で撮影してもよい枚数の制限はありません。人の体は複雑な構造をしていますので、検査をする部位やその人の病状などによって、様々な方向から撮影することがあります。通常は正面と側面の2方向の写真を観察することで立体的な人体の患部を把握します。より複雑な患部やより精密な観察が必要である場合には、さらに多くの枚数を撮影します。検査により身体状況を確認して適切な治療につなげるメリットの方が放射線被ばくのリスクよりも十分大きいと医師が判断した上で検査を実施しています。
エックス線検査は1年間に何回まで受けて大丈夫ですか?
医師が必要と判断した場合には、1年間に何回でもエックス線検査を行うことがあります。ケガや病気の治療を受けている患者様の場合には、患部や周囲の観察のために毎月、毎週、毎日、時には1日に何度も検査をすることもあります。放射線による被ばくのリスクよりも病状把握の情報となる利益の方が上回ると判断した上で実施されています。
こどもがX線検査を受けても大丈夫ですか?
X線検査による診療情報を得る利益が被ばくによるリスクを上回ると判断した上で実施しています。こどもの場合は身体が成人より小さいので、検査に必要なX線の量も少なく調整しています。
また、検査による生殖腺の直接的な被ばくを防ぐために、診療情報へ影響のない範囲で鉛板等で生殖腺の防護を行っています。
妊娠中にエックス線検査を受けても大丈夫ですか?
胎児が被ばくしたとしても身体に影響が発生しない線量が疫学的調査で確認されており、通常のX線検査(腹部撮影、骨盤撮影、消化管検査等)で胎児が受ける線量はそれよりごく少量です。
また、胎児が直接被ばくすることのない部位(胸部・頭部等)の検査の場合は、胎児への影響は無視できるほど小さくなっています。
こどもがX線検査をした時に一緒にいた私は大丈夫ですか?
X線検査をする時には身体を静止してもらうなど、受診者の協力が必要となります。しかし、乳幼児などのこどものX線検査をする時はその協力が得られない場合があります。このような時、こども自身の不安や恐怖心を少なくするために保護者の方に一緒に撮影室へ入っていただき、お手伝いをお願いする場合があります。入室の際には、放射線防護用エプロンを着用していただき、撮影時には放射線量は成人より少なく、照射面積も狭く調整しており、撮影する部分以外の周囲には直接的なX線は当たらないようにしています。したがって、保護者の方が受けるのは散乱線のみで、身体への影響は無視できるほど小さくなっています。
X線検査の時に衣服を脱ぐのはどうしてですか?
一般的に撮影部位の周辺は脱衣が必要となります。衣類にボタンや金具などがあると、画像上で病変と重なり正確な診断の妨げとなります。また、色鮮やかなプリントがされている衣服に使用されている染料には金属製粉や特殊な素材が混ぜられていることがあり、偶然的に病変のように画像に映し出される場合があります。なお、脱衣をお願いする場合検査着を用意しています。
参考文献
- 日本放射線公衆安全学会:医療従事者のための医療被ばくハンドブック,文光堂,2008
- 草間朋子:あなたと患者のための放射線防護Q&A,医療科学社,第二版1997
- 全国保健所放射線技師会:被曝相談ハンドブック,会報特別号1997